評価指標の詳細について

「土地利用総合評価」は、土地利用によって災害リスクを回避している「災害からの安全度」と、生態系・生物多様性がもたらす「自然の恵みの豊かさ」(生態系サービス)の2つの観点をもとに総合的に評価しています。

「災害からの安全度」と「自然の恵みの豊かさ」を同時に評価した二次元マップでは、総合的な観点で見たときの相対評価を表示していますが、それぞれの項目についての詳細を把握することができません。そこで、すべての評価指標を網羅的に可視化したレーダーチャートを用いて、自治体(市区町村)別の詳細評価も表示しています。

それぞれの自治体における「災害からの安全度」や「自然の恵みの豊かさ」の詳細な特徴をもとに、土地利用の特性をより具体的に把握することによって、土地利用のあり方を検討することが期待されます。

災害からの安全度

「災害からの安全度」は、洪水による浸水災害・土砂災害・高潮による浸水災害に対する安全度を、災害の類型ごとに指標(計11指標)を平均したのち、さらに3類型の平均としました。

①安全人口割合(床上浸水・洪水浸水災害)(%)
②安全人口割合(家屋水没・洪水浸水災害)(%)

洪水による浸水がおこる場所を居住地として利用しなければ、浸水災害を回避することが可能です。床上浸水相当(0.5m以上の浸水深)と家屋水没相当(3m以上の浸水深)の浸水災害を回避できる人口の割合を算出し、自治体ごとの安全度として評価しました。

③安全建物割合(洪水浸水災害)(%)

洪水による浸水がおこる場所に建物が立地しなければ、浸水災害を回避することが可能です。また、浸水深と建物の階数に応じて、建物あたりの被害率が変わります。浸水災害を回避できる建物資産額の割合を算出し、自治体ごとの安全度として評価しました。

④安全農業生産割合(洪水浸水災害)(%)

洪水による浸水がおこる場所に農地が立地しなければ、農作物への浸水災害を回避することが可能です。また、浸水深と農地の種類に応じて、農業生産の被害率が変わります。浸水災害を回避できる農業生産の割合を算出し、自治体ごとの安全度として評価しました。

⑤安全人口割合(土砂災害)(%)

土砂災害がおこる場所を居住地として利用しなければ、土砂災害を回避することが可能です。土砂災害を回避できる人口の割合を算出し、自治体ごとの安全度として評価しました。

⑥安全建物割合(土砂災害)(%)

土砂災害がおこる場所に建物が立地しなければ、土砂災害を回避することが可能です。また、建物の階数に応じて、建物あたりの被害率が変わります。土砂災害を回避できる建物資産額の割合を算出し、自治体ごとの安全度として評価しました。

⑦安全農業生産割合(土砂災害)(%)

土砂災害がおこる場所に農地が立地しなければ、農作物への土砂災害を回避することが可能です。なお、土砂災害による農業生産の被害率は全損として評価しています。土砂災害を回避できる農業生産の割合を算出し、自治体ごとの安全度として評価しました。

⑧安全人口割合(床上浸水・高潮浸水災害)(%)
⑨安全人口割合(家屋水没・高潮浸水災害)(%)

高潮による浸水がおこる場所を居住地として利用しなければ、浸水災害を回避することが可能です。床上浸水相当(0.5m以上の浸水深)と家屋水没相当(3m以上の浸水深)の浸水災害を回避できる人口の割合を算出し、自治体ごとの安全度として評価しました。

⑩安全建物割合(高潮浸水災害)(%)

高潮による浸水がおこる場所に建物が立地しなければ、浸水災害を回避することが可能です。また、浸水深と建物の階数に応じて、建物あたりの被害率が変わります。浸水災害を回避できる建物資産額の割合を算出し、自治体ごとの安全度として評価しました。

⑪安全農業生産割合(高潮浸水災害)(%)

高潮による浸水がおこる場所に農地が立地しなければ、農作物への浸水災害を回避することが可能です。また、浸水深と農地の種類に応じて、農業生産の被害率が変わります。浸水災害を回避できる農業生産の割合を算出し、自治体ごとの安全度として評価しました。

自然の恵みの豊かさ

「自然の恵みの豊かさ」は、生態系と生物多様性がもたらす自然の恵み(生態系サービス)のうち、供給・調整・文化的サービスの類型ごとに指標(計16指標)を平均したのち、さらに3類型の平均としました。

供給サービス

供給サービスとして、今回は3つの指標を評価しました。指標の値は、全国の自治体における相対的なスコア(最大100・最小0)に標準化したものです。

①食料供給ポテンシャル

土地利用において、水田・畑地・その他の農地は食料供給のポテンシャルを持つ土地利用の区分であり、その面積を食料供給が可能な指標として評価しました。自治体ごとに食料供給が可能な土地利用面積の割合を評価しました。

②木材供給ポテンシャル

土地利用において、人工林は木材供給のポテンシャルを持つ土地利用の区分であり、その面積を木材供給が可能な指標として評価しました。また、自治体ごとに木材供給が可能な土地利用面積の割合を評価しました。二次林や自然林からも木材が供給されることがありますが、全国の供給量のなかではわずかなため、木材生産が主目的となる人工林だけを指標に用いています。

③水供給ポテンシャル

地表に降った雨が集水域を流れ下る場所に到達する、潜在的な水供給量を評価しました。土地利用に応じて、地表の水は蒸発散したり地下に浸透したりします。ここでは、自治体ごとに単位面積あたりの平均値として評価しました。

調整サービス

調整サービスとして、今回は以下の10の指標を評価しました。自治体ごとに、単位面積あたりの数値もしくは平均値として評価しました。その後、指標の値は、全国の自治体における相対的なスコア(最大100・最小0)に標準化しました。

①炭素吸収量

森林などによる二酸化炭素の吸収は、地球規模での気候変動を抑制する働きがあります。そこで、森林が一年あたりに吸収する二酸化炭素量を評価しました。値が高いほど、気候変動を抑制する働きが高いと言えます。

②蒸発散量

水の蒸発による潜熱効果は、周辺の気温を低下させることから、気温を調節する働きがあります。蒸発散量の値が高いほど、周辺の気温を低下させる効果が高いと言えます。この指標の算出では、植生に合わせた蒸発散係数を適用しました。

③地下水涵養量

森林などの植生には、降水を地下へ緩やかに浸透させ、地下水を涵養(かんよう:地表の水が地下水に浸透し帯水層に水が供給されること)する働きがあります。ここでは、地下水への涵養の働きを評価しました。値が高いほど、地下に涵養された水の量が多いと言えます。

④土壌流出防止量

樹木や草などの植物の根系は土壌を保持する働きがあることから、森林や農地などの植生は土壌流出を防止します。土壌流出が防止された量が多いほど、土壌を保持する働きが高いと言えます。

⑤窒素除去量 
⑥リン酸除去量

植生によって土壌流出が防止された土壌の中には、栄養塩が含まれています。ここでは、流出が防止された土壌中の栄養塩(可給態窒素と可給態リン酸)を、栄養塩の除去量として評価しました。植生により除去される栄養塩の量が高いほど、栄養に関する環境保全効果が高いと言えます。

⑦NO2吸収量 
⑧SO2吸収量

植物には、光合成を行う際に、CO2と併せて大気汚染物質(例えば、NO2(二酸化窒素)やSO2(二酸化硫黄))を吸収する働きがあります。ここでは、植生ごとにNO2とSO2の吸収量を計算し、大気浄化の効果を評価しました。値が高いほど、大気汚染物質の吸収量が多いと言えます。

⑨洪水調整量

森林や農地には、樹幹や植被によって降雨を緩やかに流下させ洪水を緩和する働きがあります。ここでは、植生による洪水緩和機能を裸地等と比較することで評価しました。緩和された量が多いほど、洪水調整の効果が高いと言えます。

⑩表層崩壊からの安全率の上昇

樹木の根系は、表層の土を固定する働きがあります。ここでは、森林があることによる表層崩壊からの安全率の上昇度を評価しました。安全率の上昇度が高いほど、調整効果が高いと言えます。

文化的サービス

文化的サービスでは、今回は以下の3つの指標を評価しました。自治体ごとに、人口一人あたりの数値もしくは平均値として評価しました。その後、指標の値を全国の自治体における相対的なスコア(最大100・最小0)に標準化しました。

①緑地へのアクセス度

日々の暮らしで自然や緑に接することは、精神的なやすらぎや居心地の良い生活空間が形成されていると言えます。ここでは、全住民の徒歩30分圏内にある平均的な緑地面積を評価しました。緑地には、森林、農地、草原、湿地等が含まれます。指標の値が高いほど日々の生活で緑地に接しやすいため、文化的サービスに恵まれていると言えます。

②水域へのアクセス度

日々の暮らしで水辺の環境に接することは、精神的なやすらぎや居心地の良い生活空間が形成されていると言えます。ここでは、全住民の徒歩30分圏内にある平均的な水辺の面積を評価しました。水辺には、河辺・湖畔・海辺・湿地が含まれます。指標の値が高いほど日々の生活で水辺の環境に接しやすいため、文化的サービスに恵まれていると言えます。

③オートキャンプ場の立地確率

手軽に野外レクリエーションがしやすい環境の1つとして、オートキャンプ場があります。ここでは、オートキャンプ場が立地する確率を評価しました。現存するオートキャンプ場の有無を1kmメッシュで評価し、周辺の植被率・自然林率・標高などの自然環境と人口や道路密度などの社会環境を説明変数として機械学習法によりモデル化しました。その統計モデルから推定されたオートキャンプ場の立地する確率を、文化的サービスの指標としています。数値の偏りが大きいため、対数変換してから相対的なスコアを計算しました。